ブログ名著紹介シリーズ17 「学問の厳粛性」
この書物は、昭和18年に冨山房から出版された幻の名著です。著者は日本を代表するドイツ語学者にして
哲学者だった佐藤通次博士。博士は日本で始めての「独和言林」というドイツ語辞典を著したことで有名で
その原稿枚数は二階の天井まで届くほどでした。また「若きウェルテルの悩み」や「クオレ物語」の完全翻訳
でも有名で、ドイツ政府より日独文化交流賞を受賞しました。日本の神道には極めて深い造詣があり、吉田茂元総理大臣から請われて、伊勢の神宮皇學館の学長に就任した経歴もあります.神道方面の著書も多数あります。戦前「皇道序論」を著したことでも有名です。そのような博士が学者としてのあり方について、日本国民としてのあり方について欧米思想批判の立場から書き上げたものです。入手することはなかなか難しいのですが、県立図書館であれば閲覧できる場合があります。新本にばかり目が向きがちですが、たまには、古本の名著もいかがでしょうか。
佐藤博士は明治三十四年五月二十六日、山形県に生まれ、京都帝大哲学科を卒業したドイツ語学者(文学博士)であり、哲学者でもありました。大学卒業後は九州帝大の講師から助教授になりましたが、昭和十八年に、文部省の国民精神文化研究所(後に教学錬成所と改名)の所員を務め、その頃、京都学派・西田哲学を批判したこともありました。戦後は公職追放となりましたが、昭和三十年、亜細亜大学教授を経て、同三十七年から約七年間、皇学館大学の教授を務めた後、同四十八年に同大学長に就任しています。退職後は同大学名誉教授となり、晩年は小田原市に在住していたが、平成二年七月三日、八十九歳で、肺炎のため亡くなりました。なお、叙勲などの関係では、勲三等瑞宝章を受章し、西日本新聞文化章などを受けています。佐藤博士はドイツ語学者としても著名で『独和言林』(筆者も旧制高校時代に愛用)を著したほか、ゲーテの「ファウスト」「若きウェルテルの悩み」や、ニーチェの「ツァラトゥストラ」などの名著を翻訳し、一方、哲学者として『皇道哲学』『孝道序論』などを刊行しましたが、日本民族の生活の原理として「皇道」を強調した点のみを短絡的にとりあげ、国粋主義者であったという人もいますが、それは博士の該博な知性を十分にご存じない人の評価であり非常に残念なことであるといわれています。
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